空き家バンクとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説

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空き家バンクとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説

空き家が増加する現在、空き家を活用した「空き家バンク」が注目を集めています。本記事では空き家バンクの仕組み、メリット・デメリット、利用手順や法律に関する情報について解説します

記事を読むことで空き家バンクの全体像がわかり、手付かずの空き家を有効活用できるでしょう。

空き家バンクとは

空き家バンクを知るために、次の3つを理解しましょう。

  • 空き家バンクの成り立ち
  • 空き家バンクの仕組み
  • 空き家バンクシステムの全国展開

空き家バンクの成り立ち

空き家バンクは1990年代初頭に地方自治体によって設立されました。空き家の所有者と空き家を活用したい個人や法人を結びつけ、放置された空き家の問題を解決する目的があります。当初は自治体ごとの取り組みでしたが、2000年代に国土交通省の支援が始まると、システム化や組織化が進められました。

現在では地方創生政策の一環として全国展開され、地域社会問題の解決策として確立されています。
» 空き家問題の原因とは?

空き家バンクの仕組み

空き家バンクは、地方自治体が集めた空き家の情報を一元管理するシステムです。空き家の所有者は、物件の貸出登録や売却希望を出せます。利用者は登録された空き家を閲覧し、気に入った物件の申し込みが可能です。マッチングが成立すると、所有者と利用希望者が連絡を取り合い契約を行います。

空き家を再利用する際のリフォーム費用や、居住経費の補助制度がある自治体も多いです。空き家の登録には安全性や住居環境の基準を満たす必要があるため、利用者は安心してサービスを利用できます。基本的に無料で利用できますが、自治体によって利用料がかかる場合もあるので、事前確認が必要でしょう。

空き家バンクシステムの全国展開

空き家バンクシステムは地方自治体が主導で全国展開されています。空き家問題の解決だけでなく、地方移住の促進にも貢献しています。全国空き家バンク協会の設立によって、自治体間の情報共有がスムーズになったことで全国展開が実現しました

空き家バンクのデータベースはインターネット上に公開されています。利用者は気軽に全国の空き家情報を検索し、理想の住まいを探すことが可能です。

空き家バンクのメリット・デメリット

空き家バンクにはメリットとデメリットが存在します。両者をきちんと理解した上で利用してください。

空き家バンクを利用するメリット

空き家バンクで物件を探すメリットは、次のとおりです。

  • 手軽に検索できる
  • 不動産市場にない物件が見つかる
  • 運営が地方自治体のため安心して取引できる
  • 地域によって補助金や税制優遇がある
  • 安価で購入できる
  • 自由にリフォームできる

空き家の所有者にも、次のようなメリットがあります。

  • 空き家を有効活用できる
  • 維持費や仲介手数料を削減できる

地域の移住支援サービスと連携している自治体もあり、移住を考える方にはメリットです。移住者が増えれば地域が活性化するため、自治体にとってもプラスになります。以上を踏まえると、空き家バンクは物件所有者と利用者、自治体全てに有益なシステムと言えるでしょう。

空き家バンクを利用するデメリット

空き家バンクを利用するデメリットは、次のとおりです。

  • 物件情報が少ない
  • 修繕費が多くかかる
  • 手続きが複雑で時間がかかる
  • サポートが不十分な自治体がある
  • 利用者間でトラブルが発生するリスクがある

状態があまり良くない空き家も多く、インターネットの情報と実際の状況が異なる可能性があります。空き家バンクを利用する際はデメリットを踏まえ、トラブルを避けるために必ず現地で物件を確認してください
» 空き家を売却する方法

空き家バンクの利用手順

空き家バンクの利用手順は、次の4ステップです。

  • 登録条件を確認する
  • 登録手続きをする
  • 希望者が空き家を探す
  • 購入希望者と契約を結ぶ

登録条件を確認する

空き家バンクに登録するには、特定の基準を満たす必要があります。空き家の所有者がいる、安全性や衛生面に問題がない、法規制に違反していないか確認しましょう。地域によっては登録基準が細かいため、空き家の状態は詳細にチェックしてください。一部地域では耐震基準を満たす必要もあります。

管理・運用同意書などの必要書類、物件写真や図面といった詳細情報も準備しておきましょう。空き家を利用した地域貢献の計画があると、自治体の評価につながります。

登録手続きをする

空き家バンクへの登録手続きは、以下の順に行います。

  • 公式サイトへのアクセス、または対応窓口への問い合わせる
  • 必要書類(所有権証明書/固定資産税評価証明書など)を集める
  • 空き家情報(所在地/間取り/設備/写真など)を提供する
  • 登録申請フォームを記入する
  • 提出書類と一緒に登録申請を行う

申請後は空き家バンクの審査結果を待ちましょう。審査を通過すると、物件が空き家バンクに掲載されます。登録手続きをスムーズに行うために、必要な情報や書類は事前に準備しておきましょう。

希望者が空き家を探す

購入希望者が空き家バンクを利用する手順は、次のとおりです。

  • 公式サイトか直接オフィスを訪れる
  • 空き家のリストを閲覧し条件を検索する
  • 気になる物件の詳細情報をリクエストする
  • 物件の見学や現地調査を行う
  • 仲介者に交渉や購入手続きについて相談する

現地調査の段階で住宅ローンや補助金制度が利用できるか確認しておくと、購入がスムーズになります。購入が決まったら、維持管理やリフォーム計画を立ててください。

購入希望者と契約を結ぶ

購入希望者とのマッチングが成立した場合、連絡を取って資金計画や利用目的を確認します。物件の現地確認や条件交渉を経て、互いの要望が一致すれば売買契約を締結します。契約には法的な手続きが含まれるため、専門家のアドバイスを受けてください

契約成立後は売買代金の支払いと物件の引き渡しを行います。購入希望者のリフォームや修繕の要望に対応するなど、アフターフォローで購入者と長期の信頼関係を築くことが大切です。

空き家バンクに関する法律と制度

空き家バンクに関する法律や制度について、次の2つを押さえましょう。

  • 空き家対策特別措置法
  • 空き家バンク関連の補助金制度

空き家対策特別措置法

空き家対策特別措置法は、日本で深刻な空き家問題に対処するため、2015年に施行された法律です。施行によって、所有者不明の空き家を自治体が積極的に再利用できるようになりました。危険性が高く衛生上の問題がある空き家には、撤去などの緊急措置が可能です。

空き家対策特別措置法には、空き家所有者への助言や指導などの支援策も含まれています。
» 空き家とは?

空き家バンクの補助金制度

国や地方自治体の補助金制度を利用すれば、空き家のリフォーム費用や解体費用の一部を受け取ることが可能です。購入側も自治体から補助金や低金利の融資が受けられるため、空き家を購入しやすい制度が整っています。自治体によっては、空き家の活用に関するアドバイスやサポートが受けられるでしょう。

地域ごとの空き家バンクの特色

空き家バンクの特色は、地域の課題やニーズによって異なります。空き家問題に対して、地域ごとに効果的な解決策を実施すると、地域の活性化につながります。

地域に根差した空き家バンクの特徴

空き家バンクの運営では、地域の特性を生かした物件情報の提供が重要です。移住を検討している人々が地域に適応しやすくするために、さまざまな取り組みが実施されています。具体的には、以下のとおりです。

  • 地元住民とのコミュニケーションの促進
  • 地域資源を活用したリノベーション支援
  • 地元自治体の積極的な関与と支援

地域イベントやツアーを開催すると、移住希望者が実際の生活環境を体験でき、地域社会に溶け込みやすくなります。地元の企業や業者と連携してリノベーションを行えば、地元の文化や伝統を重視した暮らしの提案が可能です。地域特有の補助金や助成制度を提供すると、移住者の経済的な負担を軽減できます。

空き家バンクを活用した地域活性化の事例

空き家バンクを活用した地域活性化の成功例は多いです。それぞれの地域が持つ特色を生かした空き家の再利用を通じて、地域の魅力向上と移住者や観光客の増加につなげています。具体的な事例は以下のとおりです。

  • 長野県上田市:空き家をリノベーションし、移住者がカフェやゲストハウスを開業
  • 岡山県真庭市:空き家をシェアオフィスに改装し、地域の創業支援を実施
  • 長崎県壱岐市:空き家を活用した農業体験施設を整備し、観光客を誘致
  • 兵庫県丹波篠山市:空き家を移住者向けのコミュニティスペースとして提供
  • 山形県酒田市:空き家を活用して地域の文化体験プログラムを実施し、教育旅行の受け入れを強化

地域ごとの補助金制度や支援サービス

空き家の活用を促進するために、地域ごとにさまざまな補助金制度や支援サービスが提供されています。具体的な金額や内容は自治体によって異なるため、各自治体のホームページや窓口で詳細な情報を確認しましょう。主要都市の主な支援内容と補助額は以下のとおりです。

  • 東京都:空き家修繕費補助、最大100万円
  • 大阪府:リフォーム補助金、最大50万円
  • 神奈川県:耐震改修補助、最大150万円
  • 愛知県:空き家改修支援、最大80万円
  • 福岡県:リノベーション補助金、最大70万円
  • 北海道:寒冷地対応改修補助、最大120万円

空き家バンク利用時の注意点

空き家バンクを利用する際には、以上の点に注意し、慎重に利用することが重要です。

  • 自治体は契約や交渉には関与しない
  • トラブルが起きても自治体は責任を負わない

自治体は契約や交渉には関与しない

自治体は空き家バンクの運営や情報提供には関与しますが、契約や交渉そのものには関与しません。契約内容や交渉の結果に対して自治体が責任を持てないため、住居や土地の取引は当事者間で行う必要があります。利用者は、交渉のスキルや契約書への理解が必要です。

トラブルが起きても自治体は責任を負わない

自治体は空き家バンクの情報提供者に過ぎないため、トラブルが起きても責任を負いません。物件の賃貸借契約や売買契約は所有者と利用者の間で直接進める必要があります。法的責任や補償もすべて当事者間の問題として処理されるため注意が必要です。

空き家バンクの将来性と課題

高齢化社会と人口減少が進む中で、空き家バンクの存在が重要になりますが、空き家の増加による課題も懸念されます。

空き家バンクの展望

地域の人口減少や空き家増加といった課題に対処するために、空き家バンクが重要な役割を果たします。各地域で空き家バンクが広がれば、地域住民と移住希望者の間で円滑なマッチングが可能です。今後期待される空き家バンクの展望は、以下のとおりです。

  • デジタル化やオンラインシステムの導入による利便性向上
  • 空き家のリノベーションやリフォーム支援の拡充
  • 地域資源を生かした新しいビジネスモデルの創出

デジタル化やオンラインシステムの導入は、利便性の大幅な向上につながります。インターネットを通じて空き家情報を簡単に検索できるようになれば、利用者の増加が期待できます。利用者が安心して物件を選べるように、空き家のリノベーションやリフォームを支援する制度を整備することも重要です。

空き家の増加に伴う課題

空き家の増加に伴って発生する課題は、以下のとおりです。

  • 治安の悪化
  • 景観の悪化
  • 災害リスクの増加
  • 資産価値の低下
  • 社会的孤立の問題

空き家は、不法侵入や不法投棄の温床となりやすく、治安や景観の悪化が懸念されます。維持管理が適切に行われないことで老朽化が進み、災害時の倒壊リスクも高まります。空き家が多い地域は不動産の価値が下がりやすく、売却や賃貸が困難です。住民の孤立が増える問題も見逃せません。

空き家バンクに関するよくある質問

空き家バンクに関する以下の疑問に回答します。

  • 登録料がかかる?
  • 仲介手数料がかかる?
  • どんな物件でも登録できる?
  • 空き家バンクの登録期間は?

登録料がかかる?

多くの自治体で空き家バンクへの登録は無料ですが、一部の自治体では有料となる場合もあります。有料の場合の料金は、数千円程度が一般的です。無料で登録できる場合でも、登録後に更新料が発生することがあります。予期せぬ費用を避けるためにも、料金については事前に各自治体の公式サイトや担当窓口で確認しましょう。

仲介手数料がかかる?

仲介業者を通さずに直接取引をする場合、仲介手数料はかかりません。一方、不動産業者に依頼する場合は仲介手数料がかかります。一部の自治体では、空き家バンクを通じて直接取引を推奨し、手数料を抑える取り組みを行っています。

どんな物件でも登録できる?

空き家バンクには、基本的には空き家であれば登録可能です。住宅や別荘が一般的ですが、一部の自治体では商業物件や農地も対象としています。築年数や構造などの条件が設定されている場合もあり、老朽化が激しい物件は登録を拒否されます。登録時には現地調査が行われ、法的に問題がある物件は登録できません。

空き家バンクの登録期間は?

多くの自治体では特定の登録期間を設定していないため、一度登録すれば長期間利用できる場合が多いです。一部の自治体では、適切な管理と最新情報の維持を目的として1年ごとに再登録が求められます。長期間にわたって放置されている物件の場合、登録が取り消される可能性があるため注意が必要です。

まとめ

空き家バンクは、使われていない物件を有効活用できる便利なシステムです。自治体が中心となって日本全国に展開され、低コストで不動産を購入できるのが大きなメリットです。ただし物件の状態が良くない場合もあるため、注意が必要です。

利用の際は登録条件を確認し、必要な手続きを行なった後、物件の検索から契約までを進めます。空き家対策特別措置法や補助金制度などの法制度が充実しており、安心して空き家を売買できます。