【初心者向け】空き家問題の原因は?増加する理由とリスクを解説

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【初心者向け】空き家問題の原因は?増加する理由とリスクを解説

街角でよく見かける空き家の増加がどんな影響をもたらしているか、知らない人は多いです。この記事では、空き家が増え続ける原因について具体的に解説します。空き家が増えるリスクや、国・自治体の取り組みにも触れて解説するので、最後までご覧ください。

記事を読めば、空き家問題の現状と解決策について理解を深められます

空き家問題の基礎知識

空き家とは、一定期間の間に誰も住んでいない家を指します。空き家問題は、単に家が空いているだけでなく、社会や経済にも深く関わる重要な問題です。見た目の悪化や街の雰囲気の低下など、私たちの生活にさまざまな影響を与えます。経済的にも、地域の家の価値が下がり、税収が減ります。

日本では空き家の数が増加傾向にあり、田舎では特に深刻です。人々が都市部に集まることで、地方の家が空きやすくなるからです。空き家が増加すると、地域社会や経済に多くの問題が生じます。具体的には、以下のような問題が生じています。

  • 地域社会の安全性低下
  • 火災リスクの増加
  • 地方自治体の財政圧迫
  • 過疎化の加速
  • 地域コミュニティの崩壊

空き家のメンテナンスや監視には費用が必要です。個人の問題だけでは済まず、財政に大きな負担がかかるため、早急に解決する必要があります。

空き家率の現状は微増傾向ですが、地方ではそもそもの空き家率が高いです。具体的な数値として、2013年の空き家率は13.5%でしたが、2018年には13.6%に上昇しています。1998年と2018年を比較すると、空き家率が1.92倍まで増加しています。空き家率は増加傾向にあり、予断を許さない状況です。
» 国土交通省(外部サイト)

放置される空き家が多く存在するため、今後空き家率がさらに上がると予想されています。空き家問題への対策として、国や自治体による取り組みが行われています。しかし、解決に向けた課題は多く、引き続き努力が必要です。
» 空き家とは?

空き家が増え続ける原因

空き家が増え続ける原因は以下のとおりです。

  • 人口が減少している
  • 相続で所有者の多重化が起きている
  • 地方都市が過疎化している
  • 新築物件への需要のほうが高い

人口が減少している

空き家が増え続ける原因として、人口減少が挙げられます。国内の総人口は減少傾向にありますが、65歳以上の高齢者の割合は増加中です。地方では、若い世代の人々が学業や就職のために都市部へと流出し、人口減少を加速させています。空き家問題だけでなく、地域社会全体の活力低下や経済の停滞の要因にもなっています

相続で所有者の多重化が起きている

相続で所有者の多重化が起きているのも、空き家問題の原因です。相続で不動産が複数の相続人に共同所有されると、所有者間での長期的な意思疎通は困難です。空き家の適切な管理や活用に向けた合意形成を妨げる要因となっています。

所有権の明確化には時間とコストがかかるため、未解決のまま空き家を放置する原因になっています。共有者の中には、売却や賃貸に消極的な人が混ざるケースが多いです。適切な遺産分割が行われず、固定資産税の支払い問題が空き家問題を悪化させる場合もあります。所有者が多いほど、空き家問題に直面する可能性は高いです。
» 空き家にかかる税金を解説
» 不動産相続をする方法は?

地方都市が過疎化している

地方都市が過疎化しているのも、空き家問題の原因です。若い世代の人々が都市部へ流出し、労働力が減少します。地域の産業衰退へとつながり、公共サービスの縮小を招きます。店舗数も減少して生活の利便性が低下し、地域コミュニティ活動も衰えてしまうでしょう。

地方都市では、教育や医療といった公共サービスが不足し住民が必要なサービスを受けるのが困難になります。交通網が未整備の地方が多いため、都市からのアクセスも悪く、地域経済の停滞も引き起こします。住民間の結びつきが弱まるため、地域全体の機能が低下する深刻な問題です。

新築物件への需要のほうが高い

新築物件への需要のほうが高いのも、空き家が増え続ける原因になります。せっかく住むなら、新築の家で暮らしたいと思うのが人情です。心理的に満足できるだけでなく、建築から数年間は税制上の優遇措置があるのも新築に住む理由になり得ます。

メディアや広告が新築物件の魅力を積極的に宣伝し続けているため、新築に対する関心も高まります。新築物件は、中古物件に比べて保証期間が長いことが多く、安心感を重視する人々から選ばれがちです。土地の価値が上がっている地域では、新築物件への需要が顕著です。

空き家が増えたときのリスク

空き家が増えたときのリスクは以下のとおりです。

  • 地域の活気が失われる
  • 犯罪や事故が増える恐れがある
  • 不動産の価値が下落する

地域の活気が失われる

空き家が増えたときのリスクとして、地域の活気が失われる点が挙げられます。地域の活気が失われることによるリスクは以下のとおりです。

  • 地域コミュニティの衰退
  • 地域イベントの閉鎖・縮小
  • 地域のサービスや施設の利用減少
  • 地域住民間の交流減少
  • 孤立感の増大

かつては人の行き来があって、商店街が賑わっていても、空き家が増えると減少します。孤立感が増大して鬱に近い状態の人が増える可能性も出てくるため、大きなリスクを抱えています。

犯罪や事故が増える恐れがある

犯罪や事故が増えるのも空き家が増えることのリスクです。放置された空き家は、犯罪者の隠れ家や不法投棄の場所として利用されても不思議ではありません。空き家が多いエリアでは、治安が悪化して犯罪率が上昇する可能性があるため、早急な解決が必要です。

子どもが空き家を遊び場として使用して、事故につながるケースも考えられます。老朽化した建物が突然倒壊して、命に危険を及ぼす事故も起こり得るため、空き家は深刻な問題です。

不動産の価値が下落する

空き家が増えると、不動産の価値が下落するリスクも高まります。空き家が多い地域では、周辺の景観が損なわれて、地域全体のイメージも低下。空き家の供給が需要を大幅に上回ると、価値はさらに下落します。売れない空き家は資産価値が落ちるため、取引が困難になりがちです。

空き家問題に対する国と自治体の取り組み

空き家問題に対する国と自治体の取り組みは以下のとおりです。

  • 空家等対策の推進に関する特別措置法
  • 補助金や助成金による支援
  • 税制上の優遇措置の適用

空家等対策の推進に関する特別措置法

空家等対策の推進に関する特別措置法は、平成26年に制定されました。令和5年に改正も行われており、除却や活用で住みよい街にするよう推奨されています。法律の制定や改正により、自治体は空き家の所有者に対して適切な対応を求めることが可能になりました。
» 国土交通省(外部サイト)

手入れされていない空き家が問題を引き起こす場合、自治体から所有者に修繕や解体を求められます。危険を及ぼす可能性のある空き家に対して、自治体が所有者の同意なしに解体することも可能です。
» 空き家の解体費用を節約する方法

補助金や助成金による支援

国や自治体は、空き家問題に対処するために、補助金や助成金を用意しています。解体費用などの一部が補助される場合があるので、自治体のホームページをチェックしてみてください。空き家バンク制度を通じた物件の購入や、空き家を賃貸物件として提供する改修費用にも支援があります。
» 空き家の解体補助金を解説!

所有者が複数人の場合の手続き支援や、空き家を公共施設として再利用する助成もあります。さまざまな選択肢があるため、1人で悩まずに相談してみるのがおすすめです。支援を活用することで、空き家の適切な管理や再活用が促進され、地域社会の活性化にもつながります。

税制上の優遇措置の適用

税制上の優遇措置の適用もあります。具体的な優遇措置は以下のとおりです。

  • リフォームする際の減税
  • 空き家バンク制度に登録した場合に減税
  • 賃貸用不動産として活用した場合の固定資産税の軽減
  • 売却する際の不動産譲渡所得税の特例適用
  • 耕作放棄地の税負担軽減

税制上の優遇措置は、上記のとおり多岐にわたります。所有者や購入者に経済的なメリットがあるため、空き家の活用や解消の促進につながっています。
» 空き家バンクとは

空き家オーナーのための具体的な対処方法

ここでは、空き家オーナーのための具体的な対処方法として、以下の3つを解説します。

  • 空き家を自ら管理する方法
  • 空き家バンク制度の利用
  • 空き家を活用した地域貢献の方法

空き家を自ら管理する方法

空き家を自ら管理すると費用を抑えつつ、家の状態が保てます。具体的な方法は、以下のとおりです。

  • 定期的な巡回と点検を行う
  • 清掃と庭の手入れを継続する
  • 空き家を保険に加入させる
  • セキュリティシステムを導入する
  • 電気や水道などのライフラインを適切に管理する
  • 書類や行政手続きを定期的に確認する
  • 近隣住民との良好な関係を保つ

空き家の適切な管理は、物件の価値を維持し続けることにつながります

空き家バンク制度の利用

空き家を有効に活用する方法として、空き家バンク制度の利用があります。空き家バンク制度の特徴は、以下のとおりです。

  • 地域の空き家情報を一元化し、利用者に提供する
  • 地方自治体が運営し、無料で登録・利用ができる
  • 購入希望者や賃借希望者が空き家情報を検索・閲覧できる
  • 空き家の所有者は、利用者と直接交渉できる
  • リノベーションや移住支援などのサポートが提供されることがある

空き家バンク制度は、地域活性化と人口増加を目的としています。地方への移住や地域貢献を考える人にとって、非常に有益な手段です。

空き家を活用した地域貢献の方法

空き家を活用した地域貢献の方法は、以下のように多岐にわたります。

  • ボランティアグループやNPOの活動拠点として活用する
  • 緊急避難場所として利用する
  • 地域の図書館や読書スペースとして活用する
  • 地域イベントや集会場所として活用する
  • 小規模保育施設として利用する
  • 地域のコミュニティセンターとして活用する
  • 地域の子供たちの学習スペースとして活用する
  • 地域の芸術文化活動の拠点として使用する
  • 地域の農産物直売所やフリーマーケットの場所として活用する

活用方法を工夫することによって、地域の活動を支援しつつ、空き家の維持費も軽減できます

空き家の活用方法

空き家の活用方法には、以下のような選択肢があります。

  • リノベーションによる再活用
  • 賃貸や民泊としての運用
  • コワーキングスペースやシェアハウスとしての利用

リノベーションによる再活用

リノベーションによる再活用は、老朽化した建物の価値を高める有効な方法です。建物の価値を高めるために、以下の方法を取り入れましょう。

  • エネルギー効率を向上させる設備の導入
  • 地域のニーズに合わせた用途変更
  • 賃貸需要を高めるための内装リフォーム
  • 住みやすさを向上させる間取り変更

既存の構造を生かしつつ、モダンなデザインに変更するのがおすすめです。

環境に配慮したエコリノベーションや、リノベーションによる税制優遇措置の活用も検討しましょう。地域の建築規制に合わせた改修計画を作成するのがポイントです。

賃貸や民泊としての運用

賃貸や民泊として運用することで、空き家からの収益を最大化できます。安定した収入源を確保する方法として非常に効果的です。賃貸や民泊として運用するためには、以下のポイントを押さえましょう。

  • オンラインプラットフォームを利用する
  • 不動産管理会社に運営を委託する
  • 内装や家具を整える
  • 地元の魅力をPRする
  • 空き家のサイズや立地に応じた賃貸・民泊プランを設計する

賃貸や民泊として運用する際には、法的要件を確認し、必要な許可を取得することが不可欠です。特に民泊運営には厳しい規制があるので、事前に確認してください。

コワーキングスペースやシェアハウスとしての利用

コワーキングスペースやシェアハウスとしての利用は、空き家の有効活用方法の一つとして注目されています。リモートワークが普及した現代において、コワーキングスペースやシェアハウスの需要が高まっているからです。

コワーキングスペースとして利用する場合には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 地域のリモートワーカーやフリーランスが利用できる
  • Wi-Fiや会議室などの共有設備が整っている
  • マンスリー契約やデイリー利用などの柔軟なプラン設定ができる

要件を満たすことで、地域のニーズに合わせたオフィス環境が提供可能です。

一方、シェアハウスとして改装した場合には、以下のような利点があります。

  • 若者や単身者向けの居住空間を提供できる
  • 共用キッチンやリビングでコミュニティ形成が促進される
  • 賃貸収入が安定する

空き家を共同生活空間として提供すると、地域の活性化にも寄与します。

空き家を売却する方法

空き家を売却する方法として、以下の3つのステップに分けて解説します。

  1. 売却の準備
  2. 不動産会社との契約
  3. 売却手続き

売却の準備

売却の準備を行うことは、スムーズな取引を実現するために非常に重要です。具体的な準備内容は、以下のとおりです。

  • 空き家の現状把握
  • 権利関係の整理
  • 価格査定の依頼
  • 必要書類の準備
  • 清掃や整理
  • 売却時期の検討
  • 近隣住民への告知
  • プロモーション戦略の策定
  • 法律や税務の確認

リフォームが必要な場合には、先に行うことで物件の価値を高められます

不動産会社との契約

不動産会社との契約では、信頼できる業者を選ぶことが重要です。信頼性の高い不動産会社を選ぶと、売却活動が円滑に進み、トラブルも未然に防げます。口コミや評価を参考にするのがおすすめです。

契約の際には、自分に合った媒介契約を選択しましょう。媒介契約の種類は、以下の3つです。

専任媒介契約
一つの不動産会社にのみ依頼するため、専属のサポートが受けられます。
一般媒介契約
複数の不動産会社に依頼できるため、より広範な売却活動が期待できます。
専属専任媒介契約
一つの不動産会社にのみ依頼する契約で、報告回数が多く設定されています。積極的な売却活動が見込める一方で、自分で買い主を見つけた場合でも仲介手数料が必要です。

弁護士や税理士と連携して契約書の内容を確認することで、法的な問題を避けられます。手数料や費用も事前に確認してください。

売却手続き

売却手続きの手順は、以下のとおりです。

  1. 不動産評価
  2. 必要書類の準備
  3. 売買契約書の作成
  4. 重要事項説明を受ける
  5. 売買契約の締結
  6. 手付金の受領
  7. 決済日の設定
  8. 残代金の受領
  9. 所有権の移転登記
  10. 引渡し手続きの完了

手順に沿って進めると、空き家をスムーズに売却できます。

まとめ

空き家は社会や経済に大きな問題を生み出しているのが現状です。人口減少や地方都市の過疎化などの、多くの原因が絡み合っています。空き家問題が引き起こすリスクとして、犯罪や事故のリスク増加、不動産価値の低下などがあります

放置しておくとデメリットしかないため、早急な解決が必要です。国や自治体が補助金の提供や税制上の優遇策を実施しているので、ホームページを見て上手く活用しましょう。