【不動産売却と税金】失敗を防ぐ完全ガイド!確定申告に必要な書類や手順を解説

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【不動産売却と税金】失敗を防ぐ完全ガイド!確定申告に必要な書類や手順を解説

不動産を売却するときには税金の話がつきものですが、意外と多くの人は確定申告が必要かどうかわかっていません。この記事では、不動産を売却したときの確定申告について、基本から手続きの方法までわかりやすく解説します。

記事を読めば、不動産売却に関する税金の基礎知識が身に付きます。節税をして多くのお金を手元に残すためには正しい税金の知識が重要です。

不動産売却における確定申告の基本

不動産を売却すればお金を得られますが、お金を得ると一般的に税金が課されます。不動産の売却で得たお金は、給与などの所得とは別で確定申告が必要です。確定申告を行い、得た金額に応じた税金を正しく納めましょう。

不動産を売却しても以下の条件に当てはまれば確定申告が必要ない場合もあります。

  • 売却で損失が出ている
  • 特定の小規模な譲渡に該当する

確定申告にはさまざまなケースがあり複雑です。わからないときは自分が住む地域の税務署に相談に行きましょう。
» 不動産売却の基礎知識と不動産会社の選び方を解説!

不動産を売却したときの譲渡所得税

不動産を売却したときに得たお金は譲渡所得税という税金の対象です。売却で得られるお金から、購入時の価格や売却に関わる費用を差し引いた残額が譲渡所得です。税金は譲渡所得に対して計算されます。

税金は所得税と住民税で構成され、所得税は国に、住民税は自治体に納めるものです。自宅の売却が特定の条件を満たす場合、税金が軽減される特例が適用される場合もあります。

確定申告が必要なケース

不動産を売却したときに一定の条件に当てはまると、確定申告をしなければなりません

対象となる条件は以下のとおりです。

  • 年間の収入が基礎控除額を超える場合
  • 不動産を売却して利益が発生した場合
  • 所有期間が10年以下の売却で利益が発生した場合
  • 所有期間が10年以上で一定額を超える利益が発生した場合
  • 不動産売却の損失を他の所得で相殺する場合
  • 退職金を受け取った年に不動産を売却した場合
  • 海外移住などで年度中に日本の居住者でなくなる場合
  • 農地や山林など特定の資産を売却した場合
  • 不動産を相続や贈与で受け取って売却した場合

不動産を売却したときには、さまざまな状況で確定申告が必要になります。どのようなケースで申告が必要になるのか、事前に理解しておきましょう

確定申告が不要なケース

確定申告が不要なケースは以下のとおりです。

  • 年間の総収入金額が給与収入と合わせて20万円以下の場合
  • 給与と年金以外の所得がなく、給与所得が給与所得控除後に20万円以下の場合
  • 配偶者控除等特別控除を受け、給与所得が給与所得控除後に38万円以下の場合
  • 退職所得のみで、退職所得控除を適用後の所得が50万円以下の場合
  • 配偶者からの贈与による一時所得の金額が110万円以下の場合
  • 非課税の年金などを受けている場合
  • 住宅ローン控除、医療費控除、寄付金控除などの控除を受けない場合
  • 不動産を売却した利益よりも損失が大きい場合
  • 小規模企業共済等に加入している個人事業主で、掛金が全額控除される場合
  • 長期保有特例など特定の税制優遇を受けておらず、所得が生じていない場合

条件に当てはまる方は、確定申告をしなくても問題ありません。条件が複雑なため確認しても不要かどうか心配な方は、税務署に相談しましょう。

確定申告のスケジュール

確定申告に関するスケジュールは以下のとおりです。

  • 準備期間:1月1日~3月15日
  • 受付期間:2月16日~3月15日
  • 修正期間:4月以降(不備や誤りがあった場合)
  • 還付金の振込:申告後1~2ヶ月(還付がある場合)

不動産を売却したときの譲渡所得税の計算や特例の適用など、確定申告は複雑な作業になる場合もあります。確定申告のスケジュールを知っておくと、必要な書類の準備や申告作業にゆとりをもって対応できます。不備や誤りがあった場合も修正できるので、申告後も手続きの進行状況を確認しておきましょう。

不動産売却における譲渡所得の計算方法

不動産を売却したときに得られる譲渡所得は以下の式で計算できます。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得を計算するために必要なそれぞれの項目を詳しく解説します。

譲渡所得の計算方法

不動産を売却したときの譲渡所得の計算は、売却によって得た利益を把握するためのものです。

計算式はシンプルで、以下の3つがわかれば簡単に計算できます。

  • 売却額
  • 取得費
  • 譲渡費

売却額は不動産を売却したときに受け取る金額です。取得費は不動産の購入価格や購入するときかかった諸経費を合計した金額です。3つの金額がわかったら、売却額から取得費と譲渡費を引けば譲渡所得を計算できます

譲渡所得の税率は不動産を10年以上所有しているかによって税金額が変動します。正確に計算するためには、不動産の所有期間も調べておきましょう。

取得費と譲渡費用の計算方法

不動産を売却したときの譲渡所得の計算で使う、取得費と譲渡費も計算が必要です。

取得費とは不動産を手に入れるためにかかった費用で、以下の費用などがあります。

  • 購入代金
  • 建築費
  • 付帯設備の購入費
  • 購入した不動産に必要なリフォーム代

取得したときから売却までの期間に減価償却を行っていた場合、取得費から差し引ける場合もあります。譲渡費は不動産を売却するときに必要です。具体的な費用は以下のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 広告宣伝費
  • 登記費用

特定の条件下では、取得費に特別控除を適用でき、税負担を軽減されます。買い換え特例を利用すれば、不動産の取得費の差額を取得費にできる場合もあります。取得費や譲渡費は複雑な規定があり、正確な理解は難しいです。適切な計算をしたい場合は、専門家に相談すれば正しい税額を算出できます。

不動産売却の各種税金特例

不動産を売却するときには、税金の特例を活用して税負担を減らせます。特例は以下の3つです。

  • 自宅(居住用財産)売却したときの3,000万円特例
  • 長期譲渡所得の軽減税率特例
  • その他の確定申告における不動産売却の特例

自宅(居住用財産)売却したときの3,000万円特例

今住んでいる自宅を売却したときには、税金を減らせる「3,000万円特例」があります。売却価格から3,000万円を控除できるため、税負担を大きく減らせるところが魅力です。

3,000万円特例を使える条件は次のとおりです。

  • 売却する不動産に10年以上住んでいる
  • 売却年の1月1日時点で売却する家に住んでいる
  • 確定申告で特例の適用を申請している

3,000万円特例は一戸建やマンション、土地に適用できますが、空き家や貸し出している家では使えません。利用できる回数は1人につき1回だけとなっている点も注意してください。

3,000万円特例が適用されても3,000万円以上の譲渡所得があれば、超えた分に対しては税金がかかります。譲渡所得から3,000万円を差し引いた金額をもとに税金の計算をしてください。
» ローン中の家を売る方法

長期譲渡所得の軽減税率特例

10年以上保有した不動産を売却するときには、税金を減らせる「長期譲渡所得の軽減税率特例」があります。不動産を売却したときの税率は、所得税が30%、住民税が9%です。長期保有の特例を活用すると、所得税が15%、住民税が5%に減ります

特例を受けるには確定申告で「特定の不動産の譲渡所得の計算に関する明細書」の提出が必要です。税金対策として特例を活用すれば、売却後の手取り額を多く残せます。

その他の確定申告における不動産売却の特例

不動産を売却するときには、さまざまな特例を知っておくと役に立ちます。

適用される特例は以下のとおりです。

  • 小規模企業共済等掛金控除特例
  • 土地の特定共同住宅建築等に係る特例
  • 災害損失の特別控除
  • 事業用資産の買い換え特例
  • 交通・公園等誘導地域内の土地の譲渡所得の特別控除
  • 農地等の特定資産の譲渡所得の特例

特例には適用するための条件がありますが、条件に合えば税金を大幅に減らせます。不動産の売却を考えているときには特例について調べ、適用条件を確認しておきましょう。
» 空き家を高く売りたい!空き家特例の適用と手続き方法を徹底解説

不動産を売却したときの確定申告に必要な書類

不動産を売却して確定申告を行う場合、正確な申告をするためには適切な書類の準備が必要です。税務署へ提出する書類は売却した不動産の種類や売却にかかった費用、特例の適用の有無などによって変わります。

書類に誤りがあると申告に時間がかかる場合もあります。所定の期日までに余裕を持って準備を事前にチェックしておくと安心です。

不動産の売却における主要な書類一覧

不動産を売却するときには、売買契約の成立や譲渡所得税の申告、売却後の各種手続きなどでさまざまな書類が必要です。不動産の売却をスムーズに進めるためにも、必要な書類は事前に準備し、管理しておいてください。

必要な書類は以下のものがあります。

  • 売買契約書または売買契約書のコピー
  • 不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
  • 土地・建物の固定資産税評価証明書
  • 取得時の購入契約書や請求書
  • リフォームや修繕を行ったときの領収書
  • 不動産売却に関連する仲介手数料の領収書
  • 譲渡所得税の納税証明書
  • 住民税非課税証明書(対象者のみ)
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 印鑑証明書(必要なケースに応じて)
  • 委任状(代理人が手続きをする場合)
  • ローン残高証明書(抵当権抹消に必要な場合)
  • 引渡し完了証明書(または引渡しを証明する書類)
  • 自宅等の特例申告用紙(特例を申請する場合)

必要な書類を適切に準備できれば、不動産の売却に伴う税務処理がスムーズに進みます。

特例が適用されたときに追加で必要な書類

特例を適用する条件を満たしていると証明するためには追加書類の提出が必要です。

適用する特例にもよりますが、必要な書類は以下のとおりです。

  • 特例適用の申告書
  • 売買契約書のコピー
  • 登記簿謄本(取得費を証明する書類)
  • 仲介手数料の領収書(譲渡費を証明する書類)
  • 住民票のコピーまたは公共料金の領収書(居住期間を証明する書類)

必要な書類をそろえて提出すれば、特例の適用が受けられます。

不動産を売却したときの確定申告の手続き方法

不動産を売却したときの確定申告の手続きは、正しい手順を理解して進めましょう。確定申告が正しくできれば適正な税金を納められ、状況によっては税金が戻ります

必要な書類や申告書はオンラインで提出するか、紙で提出するかのどちらかです。オンライン申告の場合はe-Taxを利用し、紙の場合は税務署に持参するか郵送で提出します。

オンライン(e-Tax)で申告する方法

オンラインの電子申告・納税システム(e-Tax)を活用すれば、自宅にいながら簡単に確定申告ができます。e-Taxには自動計算機能があり、自分で計算しなくても良いところが魅力です。

e-Taxを使った確定申告の流れは以下のとおりです。

  1. e-Taxソフトをダウンロードし、インストールする
  2. マイナンバーカードとカードリーダライタで本人確認する(IDとパスワードでも可)
  3. 書類をスキャンもしくは写真撮影でデジタル化する
  4. e-Taxにログインする
  5. 氏名、住所、収入、控除など必要情報を入力する
  6. デジタル化した必要な書類をアップロードする
  7. 内容を確認し電子署名する
  8. 申告書を送信する
  9. 申告書の受信通知を確認し保存する
  10. 電子申告の控えを保存する

特例を適用する場合は、特例に必要な書類も忘れずに添付してください。e-Taxによるオンライン申告は、確定申告をスムーズに進められる便利な方法なので活用しましょう。

紙で申告する方法

紙での確定申告を行うときには、確定申告用紙を用意します。入手方法は最寄りの税務署で受け取るか、国税庁のウェブサイトからダウンロードして印刷するだけです。紙で確定申告をする場合は、自分で所得や控除の計算をする必要があります。計算ミスがないようにくり返し確認しましょう。

提出する書類はe-Taxで提出するものと同じです。すべての書類がそろえて税務署に持っていくか、郵送すれば申告は完了です。

まとめ

不動産の売却には、税金に関する正しい知識が必要です。確定申告は売却額から取得費や譲渡費を差し引いた譲渡所得の額によって必要な場合と不要な場合があります

不動産の売却のときに適用できる特例があり、主な特例は3,000万円特例や長期譲渡所得の軽減税率特例などです。条件に当てはまると譲渡所得が減り、状況によっては確定申告が不要になります。

確定申告を行うときには、契約書や固定資産税評価証明書などの必要書類の事前準備が重要です。申告の手続きは、オンライン(e-Tax)や紙で行えます。自分の進めやすい方法で申告を行いましょう。