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日本全国で空き家の件数は増え続け、地域の安全や景色に深刻な影響を与えています。空き家の中には「特定空き家」と呼ばれる空き家があります。特定空き家に認定されると、固定資産税の優遇措置が適用されないなど、所有者にとっては避けたい問題です。
本記事では、特定空き家の概要と、特定空き家に認定されないための対策を解説します。記事を読み終わる頃には、特定空き家に認定されるリスクを避けるための具体的な方法が理解できます。空き家の所有者にとって重要な情報が満載なので、空き家の適切な管理や活用の仕方を学びましょう。
特定空き家とは自治体から管理が不適切と認定された家屋
特定空き家とは、所有者が適切に管理していないため、問題が起きる可能性が高い空き家のことです。空き家は長期に管理されない状態が続くと、衛生面や安全面などで問題になります。周囲の人々の生活環境に悪影響を及ぼし、迷惑になる可能性があるので、管理をしっかり行うことが重要です。
自治体は、長期間放置された状態が続いている家屋について、法律や条例に基づいて特定空き家と認定します。複数の問題が発生しそうな空き家は、特に指定される可能性が高いです。
特定空き家に認定されると、行政からの命令や罰則が適用されます。特定空き家の増加は、地域の安全や外観に深刻な影響を与えるため、早急に解決すべき問題です。
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特定空き家が問題視される理由
特定空き家が問題視される理由は、地域社会や環境に悪影響を及ぼす可能性があるためです。具体的には以下のような悪影響があります。
- 衛生問題を引き起こし、害虫や病原体の温床となる恐れがある
- 不法投棄の場となりやすく、環境汚染の原因となる
- 景観を損ね、近隣住民の生活環境の質を下げる
- 地域の治安が悪化するリスクがある
- 地価や不動産価値の低下を招く
- 火災や倒壊の危険性がある
- 地域コミュニティの活性化に悪影響を及ぼす
- 使われていない資産として経済的な損失を生む
- 行政に対する対策や管理の負担が増大する
日本では人口減少と高齢化が進行しているため、空き家の問題が深刻です。使用されていない資産として、特定空き家は持ち主にとっても損失になります。
放置された空き家は自治体による空き家対策法によって対策され始めています。地域の安全や環境の保全を目指す政策の一環として、特定空き家の認定が必要です。
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特定空き家に指定される条件
特定空き家は周囲の人々や環境に悪影響を与える恐れがあるとき、自治体によって指定されます。ここでは、特定空き家に指定される以下の条件を詳しく解説します。
- 倒壊の危険性がある
- 衛生的に有害な状態である
- 景観を著しく損ねる
- 周辺環境に悪影響を与える状態である
倒壊の危険性がある
特定空き家に指定される条件として、倒壊の危険性があることが挙げられます。倒壊のリスクのある空き家は、構造的に強度が低下していることが多く、近隣住民に危害を与える可能性が高いです。長期間の放置による老朽化も進行しています。
地震や台風のような災害が発生した場合、建物が耐え切れずに倒壊するリスクもあります。特定空き家に指定される建物は、建築基準法などの安全基準を満たしていないことも多いです。周囲の住民の安全を確保するためにも、特定空き家の放置は早急に対策が必要です。
衛生的に有害な状態である
衛生的に有害な状態であるのも、特定空き家に指定される条件の1つです。衛生的に有害な空き家は、近隣の生活環境に悪影響を及ぼし、ストレスや不快感だけでなく、健康が脅かされる原因にもなります。衛生的に有害と認定される特定空き家の特徴は、以下のとおりです。
- 害虫や害獣の発生源となっている
- 悪臭を発する物質が存在する
- 不衛生な水が漏れ出している
- 雑草や野草が手入れされていない
- 不衛生なごみや廃棄物が放置されている
- 有害物質や感染症のリスクがある物を保管している
空き家は不衛生な状態にならないよう、しっかりと管理する必要があります。衛生問題の放置は、周囲の住民の生活環境への配慮が欠けた行為なので、必ず管理しておきましょう。
景観を著しく損ねる
特定空き家は、景観を著しく損ねる状況だと認定されやすいです。景観の悪い空き家は、地域の美しい外観に悪影響を与えてしまうからです。
建物の外壁が傷んだり、色あせたりしている空き家は特に注意しなければなりません。長期的に放置された空き家は、荒れ放題になっているケースも多いです。不法投棄によってゴミが周囲に散乱している場合も、景観を害する重大な要因です。
長期間手入れされていない空き家は、地域の魅力を低下させるだけでなく、住民の日常生活にも悪影響を及ぼします。
周辺環境に悪影響を与える状態である
周辺環境に悪影響を与える状態であることも、特定空き家に指定される条件です。放置された空き家は、近隣住民の生活の質にマイナスの影響をもたらします。周辺環境への具体的な悪影響は、以下のとおりです。
- 周辺住民への悪臭の発生
- 害虫や野生動物の生息・繁殖
- ゴミや廃材の不法投棄
- 近隣住宅への火災や犯罪のリスク増大
- 公共インフラ設備の劣化(水道管の損傷、電気設備の劣化など)
放置された空き家は、見た目の問題だけでなく、実際に住民の生活に害を及ぼす存在です。周辺環境へ悪影響を与えている空き家は特に注意してください。
特定空き家に指定された場合
特定空き家に指定されると、以下の2つのデメリットがあります。空き家を所有している場合は、事前に知識を身につけ、対策を立てるためのヒントにしましょう。
- 特定空き家の罰則
- 特定空き家に課される義務
特定空き家の罰則
特定空き家に指定されると、所有者には増税や強制執行などの厳しい措置が取られることがあります。放置された空き家が周囲に迷惑をかけたり、景観を損ねたりすることを防ぐためです。
罰則には主に固定資産税の増額と、行政代執行の2つがありそれぞれ詳細は以下のとおりです。
固定資産税の増額
空き家に適用される固定資産税が、標準税率よりも高い税率で適用されます。増額される税率は自治体によって異なり、1.5倍の増税が適用されることが一般的です。空き家の状況によっては、標準税率の最大6倍まで増額される可能性もあります。
» 空き家にかかる税金を解説
行政代執行
行政代執行とは、改善命令に従わない場合、行政が介入して強制的に処置することです。行政代執行は法的な根拠に基づいて撤去や改修が進められます。行政代執行によってかかった費用は、空き家の所有者に請求されます。
請求された費用は必ず支払わなければなりません。支払いを拒否した場合は、所有者の不動産や車などの財産が差し押さえられて、売却されてしまうこともあります。
空き家の所有者は罰則を避けるためにも、適切な管理と活用を心がける必要があります。
特定空き家に課される義務
特定空き家の所有者は、以下のようにさまざまな義務を負います。
- 定期的な建物検査への対応
- 改善勧告に対する適切な対策の実施
- 草木の手入れやゴミの放置の処理
- 安全面や衛生面で問題が指摘された場合の修繕
- 景観を損ねる要因の除去
- 公共の安全に関連する問題への迅速な対処
上記の義務は、建物の安全性を保ち、周囲の環境を守るために重要です。特定空き家に対する改善勧告が出された場合、所有者は適切な対策を実施し、勧告に応じる必要があります。倒壊の危険性を低減するなど、被害が出るリスクの高いものから対応しなければなりません。
場合によっては、周囲の住民とコミュニケーションを取りながら問題を解決する必要があります。行政からの命令には迅速に対応し、問題がある場合は、速やかに修繕や除去作業が必須です。行政と連携を密に保ち、進捗を定期的に報告することで、スムーズな改善作業が可能になります。
改善勧告に応じず適切な措置を取らない場合、より厳しい法的措置に従うリスクに直面することとなります。命令を遵守することにより、法令違反や罰則のリスクを最小限に抑えることが可能です。強制的な措置を受ける前に、速やかに改善しましょう。
特定空き家にしないための対策
特定空き家に指定されないためには、所有する空き家を適切に管理し活用することが非常に重要です。具体的な対策は以下の2つです。
- 空き家の管理やメンテナンスを行う
- 空き家の適切な利用計画を立てる
空き家を適切に管理し、有効に活用することで、空き家の価値を保持し、地域にも良い影響を与えられます。
空き家の管理やメンテナンスを行う
特定空き家に指定されないためには、空き家の管理やメンテナンスが重要です。具体的なメンテナンス方法は以下のとおりです。
- 定期的な清掃と換気を行う
- 屋根や外壁の点検・修繕を実施する
- 防犯対策としてセキュリティシステムを設置する
- 庭の手入れをする
- 害虫や動物の侵入を防ぐための対策をする
- 水回りの漏水チェックと修理をする
- 郵便物やチラシの定期的な処理
- 近隣住民とのコミュニケーションを取る
- 塗装や修繕作業を計画的に行う
- 不要な家財道具やゴミは適切に処分する
- 空き家管理サービスを利用する
適切な管理によって家屋の劣化を防ぎ、安全な状態を保つことができます。多くの空き家はまったく管理されていないのが現状です。
空き家の管理を自分や家族で続けるのが難しい場合は、空き家管理サービスを利用する選択もあります。プロのサービスを使えば、時間や労力を節約でき、空き家を効率的に維持できます。空き家の積極的な管理は、将来的な利用や売却の選択肢を広げるためにもおすすめです。
» 空き家の管理方法を解説
空き家の適切な利用計画を立てる
空き家の適切な利用計画を立てることも、特定空き家にしないための対策として有効です。空き家を活用できれば、地域の活性化にもつながるからです。適切な計画があれば、空き家は貴重な資産となります。計画を立てる際は、空き家の現状や将来的な価値についてしっかりと評価することが必要です。
空き家の利用計画として、具体的に以下のことを検討してみてください。
- リノベーションや解体の検討
- 地域のニーズや市場価値の調査
- 賃貸や売却、事業活用の検討
- 利用計画に応じた法的要件の確認
- 資金計画と予算の算定
- 長期的な維持管理計画の作成
- 地域コミュニティや行政との連携の検討
- 空き家対策の助成金や補助金の活用
- 環境に配慮した持続可能な利用方法の検討
地域のニーズや市場価値を調査し、空き家を売却するだけでなく、賃貸物件として事業に活用するなどの検討もしましょう。オプションをつけて、他の賃貸物件と差別化を図ることで事業が成功する可能性がアップします。
どうしても空き家として維持する必要があれば、助成金や補助金の活用も視野に入れてください。空き家の売り手であれば、リフォームなどの改修に対する補助金があります。空き家を買う際も、補助金が活用できる可能性があります。お住まいの自治体に補助金や助成金の制度がないか、公式サイトを確認しましょう。
空き家を持続可能に利用するためには、長期的な維持管理計画が重要です。空き家の管理が適切にできれば、地域に価値をもたらす資源となり、特定空き家となるリスクも避けられます。
» 空き家バンクとは?
まとめ
特定空き家は、放置されていて社会問題を引き起こす空き家のことです。特定空き家に認定されると、税金が高くなるだけでなく、行政による強制措置を受けるリスクがあります。特定空き家の対象にならないためには、空き家の定期的な管理やメンテナンスが大切です。
特定空き家に認定される可能性が高い空き家には、以下の特徴があります。
- 老朽化が進み崩壊の危険性がある
- 悪臭など衛生的に有害な状態にある
- 地域の景観を著しく損ねる
- 犯罪の発生など周辺の環境に悪影響を与える
空き家の管理は事前に計画を立てて、定期的に実行することが重要です。空き家を適切に活用して罰則を受けないような仕組みづくりを心がけましょう。