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空き家の増加は深刻な問題となっていますが、どう対処すれば良いのかは意外に知られていません。
この記事では、空き家について以下の点を詳しく解説します。
- 空き家の法的定義や種類
- 空き家の判断基準や問題点
- 空き家対策特別措置法の基礎知識
- 空き家の所有者が直面する問題と対策
空き家問題への理解を深め、所有者としての責任と有効な対応策を学べます。空き家問題解決のための第一歩を踏み出しましょう。
空き家とは
空き家とは、一般的には「所有者が居住していない、または使用されていない住宅」のことを指します。
ここでは、空き家について詳しく下記のことを解説します。
- 空き家の法的な定義
- 空き家の種類
- 空き家が増える原因
空き家の法的な定義
空き家問題の対策や管理を行う上で、空き家の法的な定義を理解することは非常に重要です。
「空き家等対策の推進に関する特別措置法」による定義や空き家の範囲は下記のとおりです。
- 空き家とは「6ヶ月以上使用されていない住宅」
- 空き家には「所有者が居住せず、貸し出していない住宅」も含む
- 空き家には「修繕が必要な状態や危険を及ぼす可能性がある住宅」も含む
空き家と認識されると、所有者にはさまざまな法的措置や義務が発生します。このため、所有者は自分の物件が空き家に該当しないかを正確に把握しなければいけません。
空き家の種類
空き家というと単に使用されていない住宅というイメージがありますが、いくつか種類があります。空き家問題の解決のためにも、空き家の種類を理解しておくことは重要です。
ここでは、空き家の種類について下記の3つを詳しく解説していきます。
- 賃貸用の住宅
- 売却用の住宅
- 二次的住宅
賃貸用の住宅
賃貸用の住宅は「家賃収入を得る目的で他人に貸し出すための物件」です。
不動産仲介会社を通じて入居希望者に紹介されるのが一般的です。賃貸用の住宅は継続的な収入を生むための投資目的で所有されることもあります。
賃貸用の住宅が空き家になることで、下記のような問題が発生します。
- 維持管理が行き届かないことによる設備の老朽化や資産価値の低下
- 空き家の状態が続くことによる地域の治安や街並みの悪化
賃貸用住宅の空き家による問題を防ぐため、所有者には市場での競争力を保つための適切な対応が求められます。
売却用の住宅
売却用の住宅は市場に出されているものの、買い手がすぐに見つかるとは限らない空き家です。「価格が適正でない」「立地条件が悪い」などの原因で販売に時間がかかることがあります。
速やかに売却したい場合は「ホームステージング」という手法が有効です。ホームステージングとは、住宅の内容や装飾を見栄えよくすることです。ホームステージングにより、購入希望者に物件の魅力をより効果的に伝え、購入につながりやすくなります。
売却用の住宅が長期間売れ残ると問題になるのが「維持管理」です。放置し続けると住宅が劣化し、資産価値が低くなります。対策としては、不動産会社を通じた売却やオークションなどがあります。
二次的住宅
二次的住宅とは、休暇や週末を過ごすための場所として利用される、いわゆるセカンドハウスのことです。日常生活を営む主住宅とは別に所有し、年に数回、一定期間のみ滞在するタイプの住宅です。多くの二次的住宅は、リゾート地や郊外など通常の生活圏外に位置しています。
二次的住宅は大半の期間が無人であるため、空き家問題の原因になることがあります。維持管理が行き届かないと住宅の荒廃が進み、景観を損ねることで地域コミュニティに問題を引き起こす可能性があるのです。
二次的住宅が空き家問題の原因とならないためにも、所有者には定期的なメンテナンスや管理が求められます。
空き家が増える原因
空き家が増える原因としては、下記のものが考えられています。
- 人口減少による住宅需要の低下
- 高齢化社会に伴う、高齢者の一人暮らしや介護施設への入居
- 若者の都市部への流入による地方の過疎化
- 相続により所有者が複数になり管理が困難になる
- 経済的理由や修繕の手間、地価の低迷により売却や賃貸に出せない
関心がない所有者による空き家の放置や、法的な制度や制約が不備であることが、空き家の有効活用を困難にしています。所有者、地域、国のレベルでの適切な取り組みが求められているのが現状です。
» 空き家問題の原因とは?
» 不動産相続をする方法は?
空き家の判断基準と問題点
空き家が増えることは、多くの地域で深刻な問題となっています。ここでは、空き家の「判断基準」や「問題点」について、詳しく解説します。
空き家と判断される基準
空き家と判断される基準には下記のものがあります。
- 1年以上、人が住んでいない
- 電気やガス、水道などのライフラインが長期にわたって使用されていない
- 郵便物が長期間受け取られていない、または蓄積している
- 家具や生活用品が内部にない、または使用の形跡がない
- 建物自体が老朽化し、維持管理が行われていない外観を有している
- 所有者や管理者からの連絡が取れず、放置状態にあること
空き家の判断基準は、近隣住民や自治体が空き家を特定し、適切に対応するための重要な指標です。
空き家になることの問題点
空き家が問題となるのは、空き家の影響が個人の負担を超え、地域社会全体に悪影響を及ぼすためです。
空き家になることの問題点として、具体的には下記のものあります。
- 不審者の隠れ家や犯罪の温床になり地域の安全を脅かす
- 害虫や野生動物が繁殖しやすくなる
- 空き家が増えることで地域の景観が損なわれる
- 自然災害時に倒壊しやすく、周囲の住人や通行人の安全を脅かす
- 固定資産税等の維持コストがかかり、所有者の経済的負担になり続ける
- 空き家の存在が地域の不動産価値を下げる要因となる
空き家の状態が続き、適切な管理がなされない場合は、自治体からの指導や強制撤去の対象となる可能性があります。
» 空き家の管理方法を解説
空き家対策特別措置法の基礎知識
空き家対策特別措置法は、2015年に施行された重要な法律です。ここでは、空き家対策特別措置法について、下記のことを解説します。
- 法律の概要と目的
- 特定空き家の定義と対策
法律の概要と目的
空き家対策特別措置法は、増加する空き家とその問題を解決するために2015年に施行されました。空き家対策特別措置法の目的は「空き家の適正な管理・利用を促進し、生活環境の保全と住宅ストックの有効利用を図ること」です。
具体的には、下記のような取り組みが行われます。
- 空き家による近隣住民の生活環境への悪影響や景観の損なわれるのを防止する
- 地方自治体は空き家の実態把握を行い、所有者に適切な管理や活用を促す措置を講じることを義務付けられる
- 「特定空き家」に指定された場合、所有者は改善命令に従う義務が発生する
- 改善命令に従わない場合は、行政代執行による解体や罰則が科される可能性がある
空き家対策特別措置法により、空き家に対する具体的な行動が取られ、空き家問題への対策が進展することが期待されています。
特定空き家の定義と対策
特定空き家とは、周囲の環境に悪影響を与える可能性が高い空き家を指します。
特定空き家は下記の面から判断されます。
- 建築物の老朽化
- 管理不全による危険性
- 衛生的な問題
自治体は、特定空き家の所有者に対して改善命令を出せる権限があります。所有者が改善命令に従わない場合は、自治体が所有者に代わって建物の修理や解体を行い、かかった費用を所有者に請求できます。
特定空き家の指定を受けた場合、所有者は速やかに対策を講じなければなりません。所有者が講じる対策としては、下記のものがあります。
- 空き家を売る
- 空き家を貸す
- 空き家を修理する
- 空き家を解体する
特定空き家の指定を受けた場合、固定資産税の増額など経済的負担が増えることがあるので、注意が必要です。
空き家問題の解決には、地域住民と協力し合うことも重要なポイントです。
» 特定空き家とは?
空き家の所有者が直面する問題
空き家問題は経済的なものから精神的なものまで多岐にわたり、所有者に多くの負担をかけます。
ここでは、空き家の所有者が直面する問題について、下記の2つを解説します。
- 固定資産税や法的責任の問題
- 空き家を放置するリスク
固定資産税や法的責任の問題
空き家であっても、固定資産税を支払う必要があります。固定資産税は所有している不動産にかかる税で、土地や建物があるだけで発生するからです。空き家の場合は、使われ方によって建物の評価額が変動し、税額に影響を及ぼします。
一定の条件を満たせば、空き家に固定資産税の減税措置が適用されることがあります。
空き家の所有が負う法的責任は下記のとおりです。
- 不法侵入者に対する対策
- 空き家が原因で周囲に損害を与えたときの民事責任
- 危険な状態にある空き家に対する市町村からの是正命令や法的措置
空き家の所有者は、固定資産税や法的責任に対する適切な管理や対策が求められます。
» 空き家にかかる税金を解説
空き家を放置するリスク
空き家を放置することで、下記のようなリスクが発生します。
- 劣化や損傷による修繕費用の増加
- 不審者の侵入や犯罪の温床となるリスク
- 近隣住民とのトラブルや地域の景観悪化
- 空き家が原因で周囲に損害を与えたときの損害賠償責任
- 経済的負担が続く(固定資産税や管理費用)
- 自然災害時の倒壊リスクや、それに伴う近隣住宅への損害
- 不動産価値の低下や売却が困難になる可能性
- 繁殖した害虫や野生動物による被害
- 特定空き家の指定など、法的措置の対象となる可能性
- 土地の有効活用ができず、資産としての価値を活かせない
空き家を放置することで、経済的負担や法的責任のリスクが高まります。
空き家問題の対策
空き家問題の対策は、所有者ごとの状況に合わせた方法を取るのが効果的です。
ここでは、空き家問題の対策として下記のものを解説します。
- 【空き家を手放す】売却・譲渡・解体
- 【空き家を活用する】賃貸・シェアハウス・民泊
【空き家を手放す】売却・譲渡・解体
空き家を手放す方法には、下記の3つがあります。
- 売却
- 譲渡
- 解体
売却は不動産市場で買い手を見つける方法です。適切な価格で売却するために、売却前に査定を行って、価値を正確に把握しておく必要があります。
» 空き家を売却する方法
譲渡は親族や知人に空き家を譲る方法です。譲渡するときは贈与税について考慮する必要があります。空き家を譲渡するときは、税務の専門家からアドバイスをもらうことが推奨されます。
» 空き家バンクとは
空き家を解体するときは、取り壊し後の土地の有効活用も重要ですが、解体業者の選定や費用の見積もりも重要です。地方自治体の補助金や助成金を活用できれば、費用を抑えられます。
» 空き家の解体補助金を解説!
空き家を手放すときは法的手続きの正確性が求められるので、専門家から助言をもらうことが推奨されます。
【空き家を活用する】 賃貸・シェアハウス・民泊
空き家を活用することで、所有者に収入が発生すると同時に地域社会の空き家問題解決にも寄与できます。
空き家を活用する方法には「賃貸」「シェアハウス」「民泊」の3つがあります。
空き家を賃貸物件として活用することで、長期的に安定した収入が見込めます。シェアハウスとして運営して、共同生活を希望する人をターゲットにする方法も有効です。民泊として活用すれば、国内外の観光客に短期滞在の場を提供し、地域の観光振興に寄与できる可能性があります。
空き家を活用するときは、リフォームや回収を行い、住宅としての魅力を高めることが重要です。手間をかけたくないのであれば、管理会社に委託して負担を軽減する方法もあります。
空き家を活用するときのポイントは、下記のとおりです。
- 地域の特性に合った方法を取り、地域の活性化に貢献する
- 空き家バンク制度があれば活用する
- 法的規制や地域のルールをよく確認しておく
- 適切な維持管理を行い、物件の価値を保つ
- 補助金や助成金があれば積極的に活用する
まとめ
空き家は利用されていない住宅のことで、法的定義や種類があります。
人口減少や過疎化が原因で増加しつつある空き家は、社会的にも経済的にもさまざまな影響を与える可能性がある深刻な問題です。空き家の所有者にとっては、固定資産税や法的責任のリスクが発生します。
放置された空き家は地域の景観を損ない、治安の悪化や資産価値の低下といったさまざまな問題を地域に引き起こします。空き家問題に対処するために、空き家対策特別措置法が施行され、特定空き家への対応が規定されました。
空き家の所有者は空き家の売却や解体、賃貸での活用など適切な対応を取ることが求められます。適切な対応をとって、空き家がもたらすリスクを減らし、地域や経済に与える悪影響を最小限に抑えましょう。